飛び出せ! 永遠に時を超え……

スーパー戦隊・部門毎ナンバー1決定戦!!

 

「シリーズもの」という意味で、スーパー戦隊は極めて優良なコンテンツだと思います。「色」という世の中の根本的な要素で戦闘チームの個性分けを扱ったおかげで、フォーマットが明確でありながら多彩なモチーフを扱えているのですからね。ご当地ヒーローはウルトラマンや仮面ライダー以上に戦隊ネタが多いですし、「(一部を除き)中心はレッド」という確定の定番要素も世間に浸透して「集団のセンターは赤」のイメージを持つようになった部分もあります。『ウルトラQ』の項目で述べた歴史を歩みながら『バトルフィーバーJ』からは巨大ロボット・『恐竜戦隊ジュウレンジャー』からは6人目の追加戦士という外付けの設定も有機的に取り入れていて、海外展開である『パワーレンジャー』・前年の戦隊と共演する『VS』と展開の広がりも止まることを知りません。
筆者は中でも、『BFJ』の後作品として正式にスーパー戦隊のフォーマットを確定させた『電子戦隊デンジマン』、今や「トレンディ戦隊」という名のもとに伝説的傑作と呼ばれる『鳥人戦隊ジェットマン』、講釈師によるナレーションやポップな妖怪・お間抜なニンジャマンの言動などが楽しい『忍者戦隊カクレンジャー』が特に好きなのですが、やはりシリーズものは「コンセプトから色々やれる」ことに意味がなければならないですから、「この部分はこの作品が一番好き」という話が出てくる方が寧ろ健全でしょう。なので今回、筆者個人が「スーパー戦隊の各部門」で最も好きな部分のお話をしてみたいと思います!
皆さんのナンバーワンも探して、レッツゴー!

 

◆マスクデザイン部門 『光戦隊マスクマン』

人の身体の中にあるオーラパワーを引き出して戦う超肉体派戦隊・マスクマンのスーツは、そのオーラパワーを活かすための科学設定を意識することで、かなりシンボリックでシンプルなデザインとなっていました。アクションの際も、そのシンプルさがかなり映えてかっこいいんです。
スーパー戦隊でもスタッフの方がインタビューでお話しされることが多いのですが、シリーズものではビジュアルインパクトのためにデザイン面が複雑化する傾向があります。上記の通りシリーズコンセプトが明確で多彩なスーパー戦隊は、時に「寧ろシンプル過ぎてインパクトがある」方針も取り入れることもありました。「頭を”削る”」という発想でデザインを広げたウルトラマンティガというケースもありますし、長期シリーズで手を抜かないスタッフの方々の努力は、改めて見直したいですな。

 

◆敵組織部門 ジャシンカ帝国『科学戦隊ダイナマン』

筆者がジャシンカ帝国が好きな理由は「地位が決まる基準」にあります。地底で進化を遂げていた「有尾人」によって結成されたジャシンカ帝国のその基準とは何と……「尻尾の本数」なのです! つまり尻尾が多けりゃ偉いんです。そんな中、第1話で早速メギド王子はダイナレッドに一本切られて四本になってしまうという、ギャグとしても設定が面白いと思います。更にこの設定、ダイナマンを支える司令官・夢野博士が抱えていた秘密や、途中で第三勢力として登場したダークナイトというキャラクターと絡んで、終盤のシリアスな物語も大きく揺るがしました。『機動警察パトレイバー』などでお馴染みの出渕裕さんデザインによるアニメ調のビジュアルも必見です。
「和風のモチーフ」としてカクレンジャーは妖怪と戦ったり、戦隊側も正義とアウトローでぶつかる『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』はギャングラーが狂言回しに回ることもあったりと、スーパー戦隊は敵の側にも色々なモチーフが取り入れられています。「敵に魅力がないと正義側もかっこよく見えない」という意識も持ちながら広がる面白さも、改めて着目して頂けたら幸いです。

 

◆ザコ戦闘員部門 ヤートット『星獣戦隊ギンガマン』

組織的な描写の中で「複数のザコが出てくる」のも東映特撮の定番となりながら、仮面ライダーの方では『BLACK』でそれを取りやめ、別の流れを作った歴史があります。チームヒーローに立ち向かう描写を考えても、寧ろスーパー戦隊の方で定番になったことはよかったと思っているッス!
神秘の動物・星獣と共にギンガマンが戦ったのは宇宙の海賊バルバン。星ごと侵略するという凶悪なことをやっていた組織なのですが、そこで働くザコは、口元が錨なのかクエスションマークなのか髭なのか分からないようなデザインを持つ奴らです。こういうザコにもちゃんとモチーフを取り入れ、表現の面白さを取り入れているあたりが、スーパー戦隊が愛され続ける秘訣ではないでしょうか。

 

◆レッド部門 炎力=レッドターボ『高速戦隊ターボレンジャー』

「リーダー」或いは「メイン主人公」が「集団を描く物語」で登場するのは当然ではあります。
5人の高校生によって結成されたターボレンジャーのレッドは、四番バッターでありエースピッチャーでもある野球部の主将・炎力が務めています。二刀流で暴魔百族に立ち向かい、熱血スポーツマンとして高校内部でも友人の多いカリスマタイプの好青年であり、主題歌も歌った佐藤健太さんのさわやかさも子どもに好かれやすいでしょう。
月光仮面のような「おじさん」、鉄腕アトムのような「少年」から発展し、優しさに溢れたお兄ちゃんがヒーローの定番となり、子どもと一緒に戦隊を見ているお母様方から俳優さんへ熱い視線が向けられるようになった(笑)歴史を考えると、友人との青春も謳歌しているメンバーをまとめる力のようなタイプは、「好感」の面でヒーローの形にもなっているのかと思います。そもそも『秘密戦隊ゴレンジャー』は、70年代前半の『人造人間キカイダー』『スペクトルマン』などが放送されていた特撮ヒーローブームの頃の「完璧なヒーローが一人」というイメージを修正するかの如く「得意不得意を互いに埋めていく」構成も人気を得て、ブームが沈静化した後のヒーロー像を形作ったと言えますから、他メンバーに比べてもGT車をイメージしたマスクがシンプルであることも含め、レッドターボのリーダーシップはとてもしっくりくると思います。

 

◆ヒロイン部門 リタ・カニスカ=パピヨンオージャー『王様戦隊キングオージャー』

『電撃戦隊チェンジマン』の真面目だけど若干おドジな面もある渚さやか=チェンジマーメイド、『ルパパト』の硬い口調で振る舞いつつぬいぐるみを愛する明神つかさ=パトレン3号など、ヒロインも魅力的なスーパー戦隊。まさか令和になってジャストヒットなキャラクターに巡り合うとは……!!
初期メンバーで初めて「紫」となったゴッカンという国の王様・パピヨンオージャーことリタは、口元を隠して「中立な審判」を下す裁判長でもあるのですが、普段は感情を押さえているストレス解消も込めて、もっふんというぬいぐるみに話しかけたり、時々奇声を上げたりするというギャップを見せます。いや、可愛すぎだろ! でもって第38話ではアイドルデビューまでしてネット上でも超話題になりました。最高過ぎるだろ!
平川結月さんのクールな演技を含め、今まではなかなか見られないキャラクターだと思うので、筆者の今のイチオシです! あ、でもリタは「女性なのかも分からない」キャラなんですよねー……

 

◆追加戦士部門 番場壮吉=ビッグワン『ジャッカー電撃隊』

先述の通り「六人目の、完全に外から」参加してレギュラーになった追加戦士が初めて登場したのは『ジュウレンジャー』なのですが、実はスーパー戦隊二作目にして「追加戦士」は描かれていました。
トランプがモチーフとなっていたので四人編成だったジャッカーですが、サポートのための行動隊長として、四人が持っているエネルギー(原子力・電気・磁力・重力)を全て備えた万能サイボーグ・ビッグワンが中盤より登場しました。そんな中でもスペードエースを差し置いてセンターに立っちゃうんだから、カッコいいったらありゃしない!
そんな番場壮吉を演じるは、『怪傑ズバット』などでお馴染みであり、『ゴレンジャー』のアオレンジャー=新命明からの続投となった宮内洋さん。流石、やはり美味しいところは持っていきます(笑)。

 

◆巨大ロボット部門 龍星王『五星戦隊ダイレンジャー』

戦隊ロボットは合体パーツの都合などで足がずんぐりしやすいのですが、龍星王はそれを見事に解消しているあたりがとても大好きなのです!
リュウレンジャー=天火星・亮の相棒である龍星王は、「武人変化」として単体で人型の形態「気伝武人」になれるのですが、東洋の龍の形から変形するため、足がほっそりとした8等身となっており、それがとてもかっこいいんです。また、武人変化前の気伝獣としての姿も、『ダイレンジャー』OPの冒頭で夕日の中を飛んでくる場面などで印象を残していて、変形してもしなくてもデザインがとても素晴らしいのが凄いと思っています。炎をバックに武人変化するシーンも必見ですぞ! ただまあ……他四体の気伝獣が、龍星王と五星合体した姿・大連王のデザインのためか、あまり凝ったデザインではないのはもったいないと、筆者以外の戦隊ファンもよく言ってます。。。
合体変形で言えば『超新星フラッシュマン』のフラッシュキングも大胆でかっこいいですし、『超力戦隊オーレンジャー』のオーレンジャーロボや『電磁戦隊メガレンジャー』のギャラクシーメガも変形前後でデザインが崩れていなくて好きですね。ロボを細いシルエットにまとめた例については、戦隊で初めて5人毎のメカ合体を実現した『マスクマン』のグレートファイブも挙げておきましょう(でも『未来戦隊タイムレンジャー』のタイムロボβのチキンレッグはちょっといただけない)。
余談ですが、『超電子バイオマン』あたりから「ロボットにも意思があり、物語が等身大戦から地続きになる」展開があり、『超獣戦隊ライブマン』から「メカモチーフが動物そのまま」というデザインを取り入れ、『ジュウレンジャー』で「ロボではなく巨大な生命体」となったことで、「スーパー戦隊の巨大戦でもやれることが増えた」とよく言われます。実はこのあたりに大きな影響を与えた作品の一つは、『マスクマン』後半から『ライブマン』前半の時期に放送されていた『仮面ライダーBLACK』だったそうです。『BLACK』には「意思を持ったバッタ型のバイク」バトルホッパーが登場するのですが、このライダーの相棒が人気者となり、玩具の売れ行きも好調だったことで、スーパー戦隊でもメカ重視の方針を切り替え、バトルホッパーと同様に動物をストレートに取り入れるきっかけになったと、当時バンダイの社員だったデザイナー・野中剛さんは語っています。

 

◆スーパー合体ロボ部門 マックスビクトリーロボ『救急戦隊ゴーゴーファイブ』

『ライブマン』以降「ロボ同士の合体」も描かれるようになりましたが、デザインも設定も非常に見事だと思っているので、マックスビクトリーロボを紹介させていただきます。
1号ロボであるビクトリーロボに、サポートロボであるライナーボーイが合体して完成するこのロボは、ビクトリーロボの顔を活かしつつ、両耳のアンテナを横にしたり、大きめのゴーグルを付けたりして派手さも演出しています。どうしても合体でバランスが崩れやすいスーパー合体で、このあたりがポイント高めです。
そもそも『ゴーゴーファイブ』に登場するロボは、災魔一族のマイナスエネルギーにブレイバーソードのプラスエネルギーで対抗するビクトリーロボ・単純な火力と大きさは最強ながらプラスエネルギーは持たないグランドライナー・あらゆる環境でも戦えるよう設計されたビクトリーマーズと、役割がバランスよく設定されていました。グランドライナーは99マシン(ビクトリーロボの合体パーツになるメカ)やマーズマシン(ビクトリーマーズの合体パーツメカ)を運搬するためのゴーライナーという列車型メカを合体させたもので、このゴーライナーに合体して宇宙へも行けるようにしたマックスシャトルが変形したものがライナーボーイです。緊急対処としてビクトリーマーズがブレイバーソードを使ったお話もありましたし、この中で「ある程度のマルチさと強さで汎用性の高い」スーパー合体を描いていたマックスビクトリーロボのバランスは、ヒーロー番組の物語構成としてもとてもよかったと思います。
……しかしながら、全ロボが大破した『ゴーゴーファイブ』最終回でご都合主義的に登場した「アレ」については、ちょっといただけないかなぁ(苦笑)。

 

◆ソング部門 『ファイティングポーズ、フラッシュマン』

幼い頃に宇宙に誘拐され、心優しい宇宙人に救われたフラッシュマンは、20年の時を経て地球に帰還し、生き別れた家族も探しながら改造実験帝国メスと戦いました。しかしその先に待っていたのは、サラ=イエローフラッシュに判明した真実と、地球で育てなかったことで起きた哀しい運命であり、その切なさにほのかな希望も残して物語は幕を下ろします。
『ジェットマン』の『こころはタマゴ』や『オーレンジャー』の『虹色クリスタルスカイ』など、スーパー戦隊の名曲も数多いのですが、『フラッシュマン』のエンディングは、「ヒーローのアクション性」を歌っていながら間奏部分のシンセサイザーにどこか悲しさが見え隠れして、上記の物語の奥にある、5人の地球への想いが感じられる曲となっています。このことから、是非とも推したい逸品として紹介したいと思います。
ちなみに『フラッシュマン』の主題歌を作曲したのは、『西遊記』『銀河鉄道999』などでお馴染みゴダイゴのボーカル・タケカワユキヒデさんです。ちょうどお子さんがスーパー戦隊に熱中していた頃で、意気揚々と後楽園ゆうえんちで行われたコンサートに連れていかれたそうですが、息子さんはタケカワさんが歌うのも担当したと思っていらしたそうで、北原拓さんが歌っている姿を見て大層悲しんだそうな……(笑)

 

◆おバカギャグ部門 『激走戦隊カーレンジャー』

最後になりますが、もう作品全体で推しちゃおうということで、若干無理矢理で部門を作りました。。。。
そう、戦う交通安全こと「カァァ~~レンジャー!!!!」です!
「一流レーサーを目指すぞ!」……と夢を見ながら町工場のテストドライバー(という名の雑用担当)に落ち着いたレッドレーサー=陣内恭介(基本月給・税込み¥193,000)を筆頭にやる気が怪しいカーレンジャーの姿や、兎に角オツムが残念過ぎる連中が集まった宇宙暴走族ボーゾックのアホ過ぎる騒動が、一年間ずっと視聴者を笑わせ続けました。ボーゾック構成員の巨大化に必要なのは芋羊羹(芋羊羹一筋の老舗和菓子屋「芋長」にて一切れ100円で販売しております)、6人目のカーレンジャーが「自称」しているだけのコスプレ少女(しかも連れのネコ型ロボットがやたらと強い)、正式な「6人目の戦士」であるシグナルマンも辺鄙な場所で交番を構える意外と出しゃばりな宇宙人警官(単身赴任と言っているけど巡査部長らしいからもしかして左遷……?)……フジテレビで放送されていた『不思議コメディシリーズ』というギャグ・女の子向け特撮からやってきた脚本家・浦沢義雄さんが繰り出す爆笑の世界は、是非皆さんに堪能していただきたいですな。

 
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